中庭教授が基調講演 ~第25回 川に学ぶ体験活動全国大会in東京・浦安~
2026年10月17日(土)、「第25回 川に学ぶ体験活動全国大会in東京・浦安」(主催:川に学ぶ体験活動全国大会in東京・浦安実行委員会)が東京海洋大学越中島会館(東京都江東区)で開催され、経営情報学部 中庭 光彦教授が「かわまちづくりについて」をテーマに基調講演を行いました。
中庭教授は、地域政策論、公共政策論、政策デザイン、水文化論を専門とし、都市部や郊外、中山間地域における開発政策史の研究を続けるとともに、人口減少時代における地域政策の手法研究に取り組んでいます。また、1998年からは水文化・水政策の比較研究を行っており、今回、特定非営利活動法人川に学ぶ体験活動協会の依頼を受け、基調講演を務めました。
講演では、地域政策や水文化研究の視点から、河川空間が持つ新たな価値と今後の可能性について紹介しました。
中庭教授は、冒頭で人口減少や少子高齢化の進行、スマートフォンやSNSの普及による市民活動の変化など、地域社会を取り巻く環境が大きく変化していることについて説明しました。そのうえで、これからの地域づくりには、人々が自発的に集い、つながりを育む場の存在が重要であり、河川空間はその役割を担う大きな可能性を秘めていると述べました。
続いて、河川をめぐる市民参加の変遷について解説しました。1990年代には環境保全を中心とした活動が広がり、その後は「かわまちづくり」の推進によって、川とまちをつなぎ、にぎわいを創出する取り組みが全国で展開されるようになったと説明しました。そして現在は、交流や憩いの場としての活用に加え、防災や減災の視点を取り入れた新たな段階へ進む時期を迎えているとの考えを示しました。
また、家庭や職場・学校とは異なる第三の居場所である「サードプレイス」の概念を紹介し、河川空間が地域住民の交流や学び、活動を生み出す貴重な拠点になっていることを指摘しました。かつて川辺が舟遊びや花火、祭り、釣りなど多様な活動の舞台であったことに触れながら、現在もカフェやマルシェ、サイクリング、カヌー、SUP(サップ: Stand Up Paddleboard)などさまざまな利用が広がっており、河川空間が地域の魅力向上に寄与していると説明しました。
さらに、水辺ステーションや河川防災ステーションの活用事例として、新潟県三条市をはじめとする全国各地の取り組みを紹介しました。三条市では、水辺ステーションとキャンプ場、水害の歴史を伝える学習施設が一体となり、防災と地域活性化を両立する拠点となっていることを解説しました。また、地域で活躍する若手経営者や事業者によるネットワークにも着目し、こうした民間主体の活動と河川空間を結び付けることで、新たな価値やにぎわいを創出できる可能性があると述べました。
そのほか、聖蹟桜ヶ丘、盛岡市、松本市などの事例を取り上げながら、河川とまちを一体的に捉え、人々の活動や交流を促進することの重要性について説明しました。また、全国各地で地域課題の解決やまちの活性化に挑戦する若手経営者や事業者の活動にも触れ、柔軟な発想と高い行動力を持つ人々がSNSなどを活用しながら地域内外のネットワークを形成していることを紹介しました。そして、多様な主体がかわまちづくりに参画することで、河川空間の新たな活用方法や地域のにぎわい創出につながる可能性が広がるとの見解を示しました。
最後に中庭教授は、これまでのかわまちづくりが「サードプレイスの創出」という大きな成果を上げてきたことを評価したうえで、今後は「平時の生活の場」と「非常時の安全な場」という二つの機能を兼ね備えた河川空間へと発展させていくことが重要であると提言しました。そして、日頃から川に親しみ、その魅力と危険性の双方を理解している市民や関係者が中心となり、多様な主体を巻き込みながら新たなかわまちづくりを進めていくことへの期待を述べ、講演を締めくくりました。
講演後には、全国各地のかわまちづくりに関する8件の事例発表が行われ、中庭教授が講評を担当しました。
講評では、「かわまちづくりに唯一の正解やモデルケースは存在しない」と述べ、それぞれの地域が持つ自然環境や歴史、文化、住民の思いを生かした取り組みこそが重要であると指摘しました。また、市民参加の手法や活用方法がますます多様化していることに触れ、住民参加、観光・地域活性化、自然体験、防災といったさまざまな視点が組み合わさることで新たな価値が生まれていると総括しました。さらに、地域ごとの特色を生かした多様な取り組みが広がることで、かわまちづくりは今後さらに発展していくとの期待を語りました。
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