経営情報学部では教員、研究者が相互の研究内容を理解し合い、学際領域の研究の高度化を目指すべく「研究サロン」を研究活性化委員会が主催し定期的に開催しています。12月21日に開催された「研究サロン」では、木村太一専任講師から「複式簿記の制約と特徴」のテーマで研究動向についてお話をうかがいました。当日は対面、オンラインのハイブリッドでの開催となり教職員16名が参加しました。
簿記はレオナルド・ダ・ヴィンチの時代から500~600年間変わらぬ形式で会計記録の方法として存続しているとのことです。この間、経営の方法は大きく変わっているにも関わらず簿記の本質は変わっておらず、その普遍性が簿記の魅力であるとされました。そして会計学者リトルトンの「光は初め15世紀に、次いで19世紀に射した」の言葉を引用し、複式簿記の歴史的背景について概観されました。
次に管理会計、財務会計の会計二大分野についてご説明いただきました。産業革命により大量生産が可能になると、人間を管理対象にするようになるとともに、グループ経営、連結財務諸表といった新たな必要性が生じてきましたが、500~600年前から使われて来た複式簿記はこれらの要請に答えるのみならず、商品販売からM&Aまで記録できたとのことで、それならば複式簿記にできないことは何かについて研究してみようと考えたとのことです。
続いて会計学とは何かについて、ご説明いただきました。会計処理の背後にある考え方は何か、投資家が企業価値を予測するという目的に照らして会計処理が妥当か、といったことを議論する学問が会計学とのことでした。また、複式簿記の定義や性質についての説明は論者によって様々で、資本や負債などの勘定が資産とは逆の場所に記録することに関して、それが何故かという問いには答えが様々存在するとのことです。また複式簿記は財務諸表における表現に制約を与える面も持ち合わせ、この点を研究対象としているとのことでした。このように制約を追い求めることで、そのような制約がありながらも守るべきとしてきたことがより明確になり、「会計とは?」、「複式簿記とは?」の問いかけの答えにより近づけるのではないかと考えているとのことでした。
質疑では、AIと会計、ブロックチェーンと会計、会計で守るべきもの、森の取得価格、お金のやり取りを伴わない事象の表現、日本での複式簿記の普及、国家の会計等について、活発な議論が行われました。
木村太一専任講師は経営情報学部で「初級簿記」、「中級簿記」等の授業を担当されています。
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