経営情報学部では教員、研究者が相互の研究内容を理解し合い、学際領域の研究の高度化を目指すべく「研究サロン」を研究活性化委員会が主催し、定期的に開催しています。9月29日に開催された「研究サロン」では、高橋恭寛准教授から研究動向についてお話をうかがいました。当日は対面、オンラインのハイブリッドでの開催となり教職員16名が参加しました。
高橋准教授は博士(文学)の学位をお持ちで、「江戸儒学思想史」をメインの研究テーマとし、加えて「江戸期の初学教育史」、「江戸期の喪祭礼」なども手がけておられます。当日は特に儒学が日本列島においてどのように受容されて来たのかに着目してお話しいただきました。
徳川体制とは兵営国家であり、儒者が官僚になる道は無く社会的身分としては存在していなかったとのことです。当時、職業は基本的に世襲とされ、生まれた家で決まってしまうことから先例主義が蔓延り、この時代の幕府は役人クラスでも無学であったことが湯島聖堂取り潰しの逸話等からも窺がえるとのことです。こうした状況の中、18世紀末になると武家の学び直しの機運が高まり、中央の学問改革が行われるに至ったとのことです。それまでの幕府は実務をこなすための組織として専門化、細分化が進み過ぎ、統治者よりも日用実務を重んじる逆転現象を呈するようになってしまい、それを正すために儒学による人間形成が見直されるに至ったとのことです。また儒学は自らを律する方法論を体得する学問なので、物事の道理の探究という点では、その後の西洋学術の受容もスムーズにできることになったと考えられるとのことです。しかし、文系学部廃止の話題を目の当たりにする昨今を鑑みると、この国は専門学術の位置付けが400年前から変わらず、自分たちがイメージする「実務」を重んじる風潮が続いているのではないかという言葉で締めくくられました。
質疑では、当時儒学に携わっていた人口や武家の教育レベル、寺子屋教育と儒学、戦国期の儒学者の動き、儒学者の身分、和魂洋才と儒学等、活発な議論が行われました。
高橋准教授は経営情報学部で「哲学入門」、「経営思想史」等の授業を担当されています。
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