-事業構想論- 多摩地域の優良企業の事業構想 株式会社ぱんぷきんラボ
多摩大学の「事業構想論*1」(担当教員:松本祐一教授)では、多摩地域で独自のビジネスモデルを展開する企業を招き、その事業構想について学ぶ講義を行っています。2026年7月 2日(木)は、多摩信用金庫主催「多摩ブルー・グリーン賞」経営部門で優秀賞を受賞した、ぱんぷきんラボ株式会社より代表取締役 保坂英之氏をお迎えしご講演いただきました。
通信制高校の課題解決に挑む
株式会社ぱんぷきんラボは東京都小平市に拠点を置き、通信制高校向け管理システム「Student Mypage Lite」を開発・提供を行うITサービス企業です。
保坂氏は、通信制高校で14年間数学教師として勤務するなかで、事務作業に追われ、生徒と向き合う時間を十分に確保できないことに課題を感じていたといいます。「教員が生徒との関りに集中できる環境をつくりたい」という思いから、校務を効率化するシステム開発に着手。その環境をより多くの学校に普及させるため2021年に起業しました。
もともと働きながら学べる教育機関として設立された通信制高校ですが、近年では多様な背景や目的を持つ生徒たちの進学先として選ばれるようになり、現在では約300万人の高校生のうち約30万人(10人に1人)が在籍しているといいます。一方で、文部科学省が推進する校務DXやシステム導入は、主に全日制高校を対象として進められており、通信制高校に適した校務支援システムは限られるため、業務の効率化が進みにくい状況が続いているといいます。
こうした課題を解決するため、同社は通信制高校専用の校務支援システム「Student Mypage Lite」を開発。通信制高校の運営に特化した機能に加え、生徒や保護者も利用できる利便性と、問い合わせに原則2時間以内で対応する手厚いサポート体制を強みに事業を展開するほか、教員の業務をサポートする無料支援ツールの提供も行っています。
教員だからわかる学校DXの進め方
講演後の質疑応答では、「既存のIT企業への転職という選択肢もあったのでは」「現場の先生が使いこなせないのでは」「普通の学校への展開やマーケット拡大について」など多くの質問が寄せられました。
保坂氏は起業を選んだ理由について、「自分が思い描く理想の社会の絵が明確にあったから」と説明。学校現場の困りごとに共感する姿勢がなければ学校のDXは進まないと感じていたことから、自ら意思決定できる経営者になる必要があったと語りました。
また、学校現場には使い慣れた仕組みを変えることに慎重な風土があるため、単にシステムを提供するだけではなく、実際にその便利さを体感してもらいながら導入後のロードマップを示し、伴走型の手厚いサポートを行うことで活用を推進しているといいます。
そして今度の事業展開については、大手上場企業が参入する競争の激しい市場にチャレンジするより、まずは通信制高校という専門市場でブランド力を確立し、その実績を次につなげるというビジネスモデルだと説明しました。
最後に保坂氏は、「何をやるのかより、なぜやるのかが重要」と強調しました。誰もが共感できる強い理念があることで、人・モノ・資金といった経営資源が集まり事業の成長につながるといいます。起業そのものを目標とするのではなく、自分の仕事に誇りとプライドを持つことが最も大切だと語り、学生たちには「誰のためにやるのか」を常に問い続けながら行動することの重要性を伝えました。
ぱんぷきんラボ株式会社 公式サイトはこちら
*1:多摩大学では事業構想を「世の中の不条理を解消しようとする問題解決行動」と定義し、アイディアが事業構想へ発展するまでのプロセスを重視しています。本授業では、事業構想を理解するための3つのアプローチとして「言葉の意味から考える」「既存理論から考える」「事例から考える」を提示し、春学期は“事例”に焦点を当て、実践者の視点から事業構想の本質を学びます。
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