経営情報学部では教員、研究者が相互に研究内容を理解し合い、学際領域の研究高度化を目指すべく「研究サロン」を定期開催しています。7月18日には、巴特尓教授から「中国の食料需給と『食』の安全保障戦略」のテーマで研究動向についてお話をうかがいました。当日は教職員12名が参加しました。
今回の報告は「経営情報研究 多摩大学研究紀要 No.27 2023」に研究論文として掲載されていますが、多方面からの関心が高く、特に民放でお昼にオンエアされている情報番組で採り上げられ巴特尓教授はコメンテーターとして生放送で数回出演された他、国会議員、県議会議員等からも問い合わせを受けたとのことです。
中国の耕地面積は世界の7%しか占めていない一方で人口は約20%を占め、経済発展と相まって国内の食料生産量は拡大の一途を辿っているだけでなく海外からの輸入量も急増しているそうです。また、中国企業による海外の農業分野への進出も加速しており、中国政府にとって食料安全保障が重要なテーマとなっていることがうかがえるとのことです。その戦略の概要について、穀物の自給を堅持するとしつつも実態としては輸入重視が顕著となっていること、農地1.2億ha、食料生産6.5億トン以上の数字を掲げ安定確保に努めていること、食料安全保障関連法規の整備や種子の国産化、スマート農業の普及などの政策的な取組、食料備蓄量の拡大や海洋牧場の建設を推し進めていること、さらには海外への投資拡大による輸入先の多様化等について具体的なデータを示しながらご説明いただきました。
そして農業分野での日中協業の可能性として、特に野菜など日本が世界的にも優位にある優良品種の中国やアジア市場への展開、日本の優良品種の育成者権保護を前提とした日本への安定供給と地産地消の推進、世界の食料市場での共同調達による日中+ASEANの食料安保への貢献、日中での食料安保を相互依存することによる武器化の4点を挙げられました。
質疑応答では、農業に欠くことのできない水の問題、農村部と都市部および年齢による格差、漁業等での資源管理の問題、ロシアによるウクライナ侵攻の食料安保への影響など、活発な議論と意見交換が行われました。
巴特尓教授は経営情報学部で「中国経済論」、「華僑華人経済論」等の授業を担当されています。
「中国の食料需給と「食」の安全保障戦略」 経営情報研究 多摩大学研究紀要,27,35-55 (2023-02-01)→こちらをクリック
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