10月5日、「多摩学Ⅱ」(担当教員:長島剛教授、野坂美穂准教授)の授業にゲスト講師としてKDDI株式会社 (本社:東京都千代田区、以下KDDI)経営戦略本部地域共創推進部の利岡寛也様をお招きし、「通信事業者と地域共創について」のテーマでご講演いただきました。
利岡様はMBA取得後、県庁勤務を経てKDDIに転職した経緯をお持ちで、役所から民間企業という「越境」により自分が志した“やりたい事”を切り開いてきたとのことです。
最初に、KDDIと通信事業の現状についてご紹介いただきました。スマートフォンの保有台数は微増ながらも頭打ちが見られる状況だそうです。一方で利用料金の低価格化が進んでおり、このような環境下での通信事業者の成長の鍵は“経済圏の拡大”にあるとのことです。実際にKDDIでは銀行(auじぶん銀行)、ショッピングモール(auPAYマーケット)、エネルギー(auでんき)、証券(auカブコム証券)など通信事業以外のビジネスを展開し、持続的な成長を目指しているとのことです。
次に、KDDIの“サテライトグロース戦略”についてご説明いただきました。日本の国家戦略としてデジタルの地域実装による変革(Society5.0)があり、KDDIではつなぐチカラを具現化し誰もが思いを実現できる社会をつくることを目指しているとのことです。そのためにKDDIの地域創生戦略は「Te To Te」のキャッチフレーズのもと、「触れる」、「使う」、「日常に」を深化させ、行政手続きのスマホ集約、ICTを支える人材育成、デジタル教育支援、地域創生のためのファンドなど多岐に渡る活動を実践しているとのことです。具体例として、スマート農業・酪農、ドローン物流、CATV&ドローンによるショッピング、観光型MaaS、VR観光、山岳登山者見守り、金融格差解消などをあげられました。
続いて、多摩地域でのKDDIの活動をご紹介いただきました。東京都市長会と連携したDX勉強会、行政手続きのBPR支援、KDDIラーニング株式会社の研修施設の設立など多岐に渡る取組を行い、実績を残しているとのことです。
最後に、利岡様のこれまでの経験を踏まえて、学生たちにはいろいろな経験を積み重ね、持続的に成長し続けるためにも、「越境」に挑戦してみてくださいとのお言葉で締めくくられました。
日々利用しているスマートフォンから講演が始まり、学生達は引き込まれていきました。経済圏の拡大では様々なビジネスを手掛けていることに驚きが、地域創生に向けあらゆる業態のパートナーと連携していることには大きな気付きがありました。
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民間企業との連携企業
との連携民間企業やNPO等広い意味でのビジネスないしプライベートセクターを指し、経済活動に直接結びついていくという意味で重要な役割を担っています
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政府や自治体
との連携自治体
との連携政策目的の達成を使命とし、地域産業等の現場ニーズに即した技術開発・技術指導に加え、研究開発基盤形成や制度改善にも重要な役割を担っています
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大学や研究機関
との連携教育・
研究機関
との連携教育と学術研究に加え社会貢献をも使命とし、優れた人材の養成・確保、未来を拓く新しい知の創造と人類の知的資産の継承等の役割を担っています
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地域住民やNPO
などとの連携NPO、
地域団体
などとの連携地域住民、地域団体、NPOなど多様な主体を含む概念で、その地域毎に様々な状況・課題があり、各地域の実情にあわせた取り組みが求められます