6月30日(木)、「国際関係論」(担当教員:小林昭菜准教授)の授業にウクライナからのゲストをお招きし、ご登壇いただきました。
連日、ロシアによる軍事侵攻が報道されているウクライナから日本に避難されている、アリョーナさん、アンナさんに特別ゲストとしてご登壇いただくとともに、現在も首都キーウに留まっているナターシャさんにはオンラインで接続しご参加いただきました。
ソビエト連邦崩壊後ウクライナは独立しましたが、度重なるロシアによる内政干渉に続く2014年3月のクリミア併合以来紛争状態が続き、2022年2月にはロシア軍がウクライナに軍事侵攻し戦争状態となりました。アリョーナさん、アンナさんによるとロシアの侵攻が始まったとされる2月24日以前から、学校では避難訓練が行われており危機的状況と認識していたとのことです。また、日に日に国外脱出も難しくなり、最後の国際便に何とか間に合い第三国を経由して知人をつてに来日したとのことです。一方、ナターシャさんは高齢のご両親がいるため、国外避難もままならず、またひとたび国を離れると二度と戻れないと判断しキーウに留まる決断をされたとのことです。
アリョーナさんは避難当時卒業間近の学生で、避難先にてオンラインで講義を聴講し、この6月に無事ご卒業されたそうですが、卒業証書も記念写真も無く、男性の同級生は戦争に駆り出され連絡もつかないそうです。アンナさんが通っていた地元の中学校は爆撃を受け、教室はメチャメチャに破壊され、とても勉強ができる状態ではないとのことです。オンラインで参加したナターシャさんはロシアの侵攻当日はウクライナ南部の友人宅を訪問していたそうですが、午前5時に爆音が鳴り響き町中がパニックになる惨事を身をもって体験されたそうです。今もキーウでは空襲警報が鳴り響き、ロシア軍による攻撃が続き、近隣の通いなれたショッピングセンターも爆撃を受け1,000人規模で死者が出るなど、全く違う人生を歩むことになったとのことです。
学生、教職員からは、避難して来た日本での食料や生活必需品の充足状況、日本での就業、将来の夢などについて質問がありました。また、日本がウクライナに貢献できること、安全保障の考え方など、活発な議論が行われました。最後に、「早くウクライナに戻って友人たちとこれまでのような生活を送りたいが、今はできることをやるだけ」とのアリョーナさんの言葉から、今も続く戦争の非人道性を感じずにはいられませんでした。
〔受講した学生からの感想〕
- 進藤丈也
テレビやSNSで目にするウクライナ侵攻の情報は、どこか現実味がなく、遠い場所で何か大変なことが起きている程度の認識だったが、実際に体験した(している)方のお話を聞くことが出来て、より身近に感じることができた。
- 雨宮永大
ニュースで報道されていないことを聞けて、そこで生活している人の現状を理解することができた。これから自分たちに起こりうるかもしれないし、この戦争にもっと注目すること、深く考えることが重要だと思った。そのために、今の自分に何が出来るか考えていきたいと思う。
- 太古前虎汰郎
本日は大変貴重な機会を頂きありがとうございました。キーウに在住されているナターシャさん、日本へ避難したアリョーナさん、アンナさんが与えてくださったこの機会や思いを心に刻み、忘れないよう国際関係について学んでいきたいと感じました。
- 石橋政憲
貴重な体験をありがとうございました。現地にいた人の話を聞くことは、ニュースとは違い、言葉の重みを感じた。今回話を聞いて、この戦争は本当に必要なのか疑問に思った。戦争に無関係な一般市民に向かって武力で支配しようとする姿勢は、本当に正しいのかということをもう一度考えてほしいと思った。
- 鳥居完太
国外へ避難することは、口では容易く言えることだが、ウクライナの人にとっては、共にあったウクライナでの思い出や伝統を捨てて逃げることなんだということを改めて認識した。
- 古屋祐樹
衝撃すぎて言葉が出ないというのが本音である。日本は戦争を仕掛けたこと、仕掛けられたこと、勝ったこと、負けたこと、核被爆国であるという歴史から学び、軍の保有をやめ平和主義を唱えている。ロシアはもっと歴史を顧みて学んでほしいと思った。
- 丹羽優介
今回の講義は私にとって今までにない貴重な時間だと感じた。ウクライナがロシアからの侵攻に備えていたが、その準備は何も役に立たなかったとおっしゃっていた。いくら準備しようと、戦争はその準備の先を行く力で国を滅ぼしていくものだと知ることが出来た。まだ戦争は続いているが、早く平和な生活に戻れることを心から祈っています。とても貴重な体験をありがとうございました。
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