6月29日(水)、「アントレプレナーシップ論」(担当教員:趙佑鎭教授、履修人数:91名)の授業にゲスト講師として「水と宇宙と、地球と、わたし」の川合アユム様、池田恭子様をお招きし、ご登壇いただきました。
川合様は21歳でIT企業を創業、40歳で上場されましたが、自らを経営者として適材ではないと判断し経営を後進に譲られ全ての経済活動を休止、その後パリ・ダカールラリーに3年間没頭されるなど、様々なご経験を経て社会の単位でのベーシックインカムの必要性に行きついたとのことです。当日は「素意とベーシックインカム」のテーマでご講演いただきました。
「素意」とは、かねてからの思い、故人の宿意といった大事な意味を持つ言葉で、個々人の経験や学習にはよらない「集合的無意識」を源泉とする潜在的意識を形作るものとされました。一方で、人間の行動の動機には自己存続を目的とする「利潤動機(利己心)」と、他者の喜びを目的とする社会的「役割動機(利他心)」があるとし、資本主義の生み出した問題点は「お金が無くなる恐怖」が利用され、持つ者と持たざる者の二極分化を生み出し、機会(チャンス)の平等が失われ、「利潤動機」が大勢を占めるようになったことであるとされました。
この究極の解決方法として、ベーシックインカム(現在の収入はそのままに、「地域通貨」によって毎月一人あたり30万円相当を支給)を導入することで、「お金が無くなる恐怖」を無くし、すべての人々にチャンスを与え、一人ひとりが利潤のために働くことをやめることで、社会のクリーニングを行おうという新しい資本主義と言える理想的な構造に進化するという発想をご紹介いただきました。現に、沖縄には「ぬちゃーしぃ」という、出せる人は出して出せない人は出さなくてもよいという、割り勘とは真逆の考え方があるのだそうです。
このような「お金が無くなる恐怖」から解放された世の中では、経営はPD(Project Drive)制度に移行し、過去の評価から未来への投資、成功のための人間的投資へ、組織を軸としたヒエラルキーから人間を軸とした並列連携型ネットワークへ移行するとされました。そこでは求められる人材も知識を重視した環境依存型人間から、よりアントレプレナー的な自立創造型人間となるとのことです。あたかもアプリがOSに依存するように、社会インフラが変わるとアプリに相当する経営も変わり、より面白い世界が待っているとされました。
最後に、趙教授からAmazon創始者のジェフ・ベゾス、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、テスラ・モーターズのイーロン・マスクもベーシックインカムの導入を主張しており、川合様は正しく先駆者と言える。利潤追求だけでない企業経営はこれからのアントレプレナーに求められる基本的な資質であるとの言葉で締めくくられました。
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