11月7日、「多摩学」(担当教員:長島剛教授・野坂美穂准教授、履修人数:175名)の授業にゲスト講師として菓子工房ビルドルセ(金澤建設株式会社、東京都小金井市)取締役 企画営業部長 マネージャーの金澤大恵様をお招きし、「『異業種承継』~建設会社が洋菓子店を受け継ぐ~」をテーマにご講演いただきました。
最初に、建設会社がいかに地元洋菓子店の事業承継に至ったかについてご紹介いただきました。27年間愛された地元小金井の洋菓子店の閉店は忍びないとする当時専務であった現社長が決断。金澤建設を代表とする社外プロジェクトで受け継ぐことになったそうです。それまで全く縁の無かった菓子製造販売をゼロから猛勉強し、清掃・整理・整頓、許可書の取得、レシピ作成、店名・商品名の決定等の準備を進め念願の開店にこぎつけ、オープン当日は500名もの来店客があったとのことです。その後も販売マニュアル化、商品の再現性、事故未然防止、衛生管理の徹底といった取り組みを推し進め、加えて百貨店・スーパー、地域イベント、JR駅構内など積極的な催事への出店など販促活動による認知度向上、商談増加を図ったとのことです。一方で、仕入れ業者の廃業、包装資材の見直し、原材料に関する顧客ニーズ多様化、余剰卵白の処置など、様々な課題が持ち上がり、こうした課題解決を進めるうちに、本当に何がやりたいかが見えてきて「心と身体がヨロコブお菓子」という発想が生まれ、2016年には多摩信用金庫が主催し経済産業省等が後援する、多摩ブルー・グリーン賞のグリーン賞【経営部門】最優秀賞を受賞するに至ったとのことです。
続いて、店舗運営が安定する中で直面した様々な課題とその対応策等についてお話いただきました。特に新型コロナパンデミックによる大打撃という逆境において、支える力となったのは顧客からの応援、友人や地元仲間からの励ましはもとより、チームメンバーの一致団結にあったとのことでした。パンデミックを経て、健康であることの価値を再認識し、「心と身体がヨロコブ」を追求した新商品開発にチャレンジ。にっぽんの宝物プロジェクト等の受賞にもつながったとのことです。そして最近では、3つのブランドへのリブランディング、店舗含むイメージのリニューアル等を通じメディアへの露出も増え、地元のイベントにも積極的に参加。さらに地元や地元以外でもOEM、卸販売を行うに至り、多摩地域とのご縁が一層深まったとされました。
最後に、これから社会に出ていく学生たちに向けて、自分の持ち場を全うする「プロフェッショナル」であること、チームとしてのゴールを見失うことなく「チームプレー」を大事にすること、感謝の気持ちを持ち新しいアイデアに結びつく「ごきげん」な気持ちでいることの3点が大切とされエールを送っていただきました。
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