7月13日、「事業構想論」(担当教員:松本祐一教授、履修人数:309名)の授業にゲスト講師としてリジェンティス株式会社(東京事業所:東京都国立市、以下リジェンティス)代表取締役 柴肇一様をお招きし、「創薬系大学発ベンチャーの起業とその事業構想」をテーマにご講演いただきました。同社は多摩ブルー・グリーン倶楽部(多摩信用金庫が主催し多摩地域の優良企業を表彰する、多摩ブルー・グリーン賞受賞企業)の会員企業となっています。
柴様はスタンフォード大学、北海道大学でポリリン酸の機能研究に携わられ、鎖状分子の長さにより人体に対して様々な機能があることを見出し、再生医療への適用可能性を目指したとのことです。2000年初頭に国のミレニアムプロジェクト補助金、NEDOの開発補助金を得て歯周病治療薬への応用研究を進めるため2004年にリジェンティスを設立したそうです。しかし創薬ベンチャーの事業モデルは膨大な研究開発費、長期に渡る開発期間を要するだけでなく、知財戦略や製薬会社との提携など乗り越えるべきハードルが非常に高いことが分かり、医薬部外品、化粧品としてすぐ売れる商品をつくろうと方向転換し育毛剤、オーラルケア用品に集中したとのことです。
続いて、売るための仕組み作りについてお話いただきました。最初は育毛剤のラジオ通販を全国のFM放送で開始し、半年弱で月間1万本と製造キャパをオーバーするまでに売り上げを伸ばしたそうですが、ラジオ通販会社の倒産などあり売掛金の回収や個人顧客への販売を継続するなどリカバリーを図り、年間約40万本、累計600万本の販売を達成するまでに成長したとのことです。さらにテレビショッピングによるオーラルケア商品の販売では、テレビで1時間の説明を実施して販売を始め、テレビショッピングにおいて1日で約2億円の売上を上げるまでに伸長させたとのことです。現在では販路として、直販、ネット通販会社、ラジオ・テレビ通販会社、店頭販売卸、理美容サロン卸、歯科ルート卸など様々なルートを持つに至ったとのことでした。近年ではペットの口腔ケアを目指したペット用商品と動物病院の開設まで業態を拡大しているとのことです。
最後に、リジェンティスの事業構想として、高齢者社会で必要とされる企業を目指すこと、最小限の社員で最大限の売上(利益)を目指すこと、安定した雇用を保ち社員の収入を増やすこと、将来の事業承継やM&Aも視野に入れておくこと、そして何よりも余裕をもって事業にあたることとされました。
質疑応答では、「理系バックグランドでのチャレンジは苦ではありませんでしたか?」、「創薬ベンチャーからの切り替えで育毛剤を目指したのは何故ですか?」、「経営に関する知識はどこで学んだのですか?」などの質問があり、活発な意見交換が行われました。
リジェンティス株式会社 : https://www.regenetiss.co.jp
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