6月22日、「事業構想論」(担当教員:松本祐一教授、履修人数:309名)の授業にゲスト講師として有限会社もしもし(東京都多摩市)代表取締役 五来恒子さんをお招きし、「地域をつなげる事業構想~ニュータウンのメディアをつくる」をテーマにご講演いただきました。五来さんは東京都中野区のお生まれで、幼少期に八王子市松ケ谷団地に転入されましたが、その当時お母様が多摩ニュータウンの主婦を対象とした「奥様もしもし新聞」を創刊されたとのことです。そして2019年秋にご両親から事業承継され、現在は代表取締役に就任。コミュニティ情報紙「もしもし」の発行や地域企業・商店の販売促進活動に尽力されています。
五来さんは地域メディアの面白さを「会いたい人に会いに行ける」、「人の喜ぶ顔が近距離で見られる」、「人の出会いを広げる仕事を通じて、自分の世界も広がる」とされました。一方、恐ろしさとして「影響力が大きい」、「一つの失敗が全ての信頼を失う」と挙げられました。この背景には、ご両親の座右の銘「建設は死闘、破壊は一瞬」と、「感謝を忘れずに、常に〝誠実〟に徹していきなさい」との思いがあったそうです。
2019年秋に事業承継した翌年2月から新型コロナの流行が始まり、売上が急減、事業計画も白紙となったそうですが、年初めから発行回数を毎週から隔週に変更していたことが功を奏し廃刊は免れたとのことです。コロナ禍で窮地に陥っている街の飲食店をはじめとする顧客に対し、困っていること、不安に思っていることを真摯に聴き廻り、自分たちで何ができるかを考えた結果、地域情報紙を届けるネットワークをお食事のデリバリーに活用できるのではないかと考え、2020年11月に「もしもしデリバリー」を立ち上げたとのことです。この年は偶然にも多摩市の市制50周年、多摩ニュータウンの入居開始50年の時でもあったことから明るい話題を探していたメディアの目に留まり、一般紙やラジオ番組出演の機会に恵まれました。また多摩市50周年の記念動画「多摩市50周年物語」にも登場されているそうです。
今後目指したい方向性として、今春リニューアルした「もしもし」のコンセプトである「ホットな心にスポット! みんなでつなごう、このまちの未来。」の言葉にあるように、「もしもし」を通じて新たな出会いを生み、思いをつなぎ、皆で一緒にこのまちの未来をつくっていきたい、とのこと。
最後にメッセージビデオをご紹介くださいました。多摩ニュータウンを舞台にした映画「すべての夜を思いだす」でベルリン映画祭など世界各国で注目を浴びている映画監督の清原惟さんは、「やりたい事や関心があることを追求していくことがこれからの未来をつくっていく上でとても重要なこと。自分の心にじっくり耳を澄まして頑張ってください」と。そして有限会社もしもしのスタッフの皆さんからは「みんなで多摩を盛り上げよう!」と、本学学生へメッセージをいただきました。
松本教授との対談では、多摩ニュータウンは各戸が鉄筋コンクリートで仕切られプライバシーが守られる半面、孤独な生活を強いられてしまう懸念があることに触れ、だからこそ地域情報紙「もしもし」は多摩市、稲城市、八王子市、町田市の4市にまたがり、生活圏で人をつなぐ身近な情報を届け続けてきた、という思い。そして50年経った多摩ニュータウンは二世代三世代が住む街に発展してきていることが楽しみで、高齢者の見守りや食支援の取り組みなどもお話いただきました。
有限会社もしもし : https://mosimosi.biz/
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