経営情報学部では教員、研究者が相互に研究内容を理解し合い、学際領域の研究高度化を目指すべく「研究サロン」を定期開催しています。10月26日には、中村その子教授から「言語の不思議あれこれ~人間の言語感覚とコミュニケーション認識~」のテーマで研究動向についてお話をうかがいました。当日は対面およびオンラインで教職員14名が参加しました。
最初に、日常使っている言語はあいまいなところも多く、同じ内容であるにも関わらず表現方法によって印象度が大きく変わります。ニュアンスのような言語的直観が存在し、文脈・場面での解釈が変わって、文法だけでは説明できないある意味感覚的なものが存在すると考えられ、それが何かを研究してきたとのことです。母国語の習得においては、動詞の活用、物の数え方、主語の省略など教えられた訳でもなく、一般的な人は使いこなせており、また文脈と場面で異なるニュアンスを共有できているのが実情であるとされました。
続いて「イ形容詞」と「ナ形容詞」の文法的性質はほぼ異論はないものの、加えて「ある特定の語集団」+「の」を「ノ形容詞」として新たな範疇として立てるべきかの議論についてご紹介いただきました。個人の使用にゆれがあるものもあり、定義することは難しいとされ、加えて「一部の副詞」+「の」、「擬音語・擬態語、四字熟語」+「の」、「接尾辞が付いた語句」+「の」をどう取り扱うかが課題になってくるとのことでした。一方で「ノ形容詞」を英訳すると英語の形容詞が使えることが非常に多く、逆の見方をすると日本語表現の多様さが見えてくるとされました。
最後に、シンガーソングライター優里の楽曲名「恋人じゃなくなった日」を取り上げ、同じ表現でも「別れ」と「結婚」という正反対の意味を持たせることができる言語の複雑性を強調されました。
質疑応答では、「ノ形容詞」を立てることについての学会での議論の動向、個人の使用のゆれについての研究手法、ロシア語の形容詞との違いなどが話題に上がり、活発な議論と意見交換が行われました。
中村その子教授は経営情報学部で「English Expression Ⅰ・Ⅱ」、「Practical English Conversation Ⅰ・Ⅱ」等の授業を担当されています。
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