経営情報学部では教員、研究者が相互に研究内容を理解し合い、学際領域の研究高度化を目指すべく「研究サロン」を定期開催しています。12月20日には、良峯徳和教授から「脳波は何をしているか、脳波で何ができるか」のテーマで研究動向についてお話をうかがいました。当日は対面およびオンラインで教職員16名が参加しました。
最初に、人工知能の研究で議論される汎用型ディープラーニングモデルと実際の脳の動きを概観し、人間の脳は成長の過程で複雑化、汎用化し、圧倒的なエネルギー効率を誇るとされました。また、人工知能は特定の領域では高いパフォーマンスを発揮するが、柔軟性、適応性には限界があり、意識や感情が無いことが人間の脳との本質的な違いであるとされました。
続いて、神経細胞の情報伝達モデルを提示され、これが脳波の源泉だと説明されました。実際の脳では、同じ事象に関連して興奮した神経細胞同士の位相同期や位相リセット、逆位相シフト等のプロセスによって脳独自の情報伝達処理が行われ、これが神経ネットワークの形成、効率向上と安定性の確保につながっているとのことです。脳波はその周波数特性によってデルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波、ガンマ波に分類されますが、それぞれの脳波の源泉がどこにあるのか、どのような神経伝達物質と関連しているかといった事柄も徐々に解明されつつあるとのことです。
脳の検査手法については、QEEG(定量脳波計測)という計測技術が空間分解能、時間分解能、機器携帯性、安全性、機器価格等から実用化の域に達し、さらに蓄積された膨大なデータベースによって、様々な症状との関連性の推定が可能になってきているとのことです。このQEEG脳波検査で、脳のどの領域にどのような脳波の変調があるかが分かれば、ニューロフィードバックの手法により、脳波の状態をリアルタイムで反映するゲームなどを通じて改善効果が期待できるとのことです。しかしながら日本ではQEEG技術やニューロフィードバックの有効性がまだ一般的に認知されておらず、欧米に比べ、普及が大きく遅れているとのことでした。
最後に、良峯教授はこれまで積み重ねて来た脳波に関する知見を、広く脳に起因する健康トラブルで困っている人々のために役立てたいとし、将来的にQEEG脳波検査やニューロフィードバックを利活用した「脳波による健康診断、トレーニング施設」を開設したいという夢を語ってくださいました。
良峯徳和教授は経営情報学部で「社会心理」、「Webデザイン」等の授業を担当されています。
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