2026年9月17日(木)、多摩大学多摩キャンパスにおいて、日米合同シンポジウム「混在交通の現在と未来 ―自動運転・ロボット・PMVが共存する社会に向けて―」を開催しました。
本シンポジウムは、大阪公立大学との共催、アメリカ大使館の後援により実施され、日英同時通訳付きの対面形式で行われました。会場には高校生をはじめ、企業、自治体、官公庁の関係者など約150名が参加。自動運転車や配送ロボット、電動キックボードなどのパーソナルモビリティビークル(PMV)、さらには歩行者が同じ道路空間を共有する「混在交通」をテーマに、日米の研究者や実務家、参加者が活発な議論を交わし、世界初となる本シンポジウムの様子はテレビ局や新聞社等、各種メディアにも取り上げられました。
多摩大学では、樋笠尭士准教授(法学・研究代表者)、杵渕洋美准教授(教育学)、太田哲教授(文化人類学)、新西誠人准教授(技術経営学)、田中友理専任講師(社会心理学)、高橋恭寛准教授(交通史・哲学)、菅沼睦准教授(知覚心理学)の7名と学生特別研究員が「混在交通の占有・優先度についてのELSIの実践的整理と対応方策の創出」をテーマとする研究に取り組んでいます。電動キックボード、自動運転車、自動配送ロボット、電動車椅子、バイク、自転車、歩行者など、多様な交通主体が共存できる「道」のあり方を探究しています。
当日午前中には、関連企画として自動運転バスの試乗会を実施しました。多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校の中学生約100名を含む、延べ約200名が乗車を体験。また、自動運転バスと電動キックボードが行き交う混在交通のデモンストレーションも行われ、参加者はシンポジウムのテーマを実際の走行環境を通して体感しました。
シンポジウムは、4部の構成で行われ、主催者を代表して本学樋笠准教授が開会挨拶を行い、続いてアメリカ大使館からビデオメッセージも寄せられました。
第1部「技術」
第1部では、混在交通を支える技術や社会実装の現状について講演が行われました。
大阪公立大学の中川智皓教授は、PMVの多様性と社会的受容性、さらにはELSI(倫理的・法的・社会的課題)について講演しました。続いて、カリフォルニア大学バークレー校のChing-Yao Chan博士が自動運転技術の現状と将来展望を解説。California PATHのPeggy Wang氏は、自動運転車と歩行者との相互作用に関する実証プロジェクトの知見を紹介しました。
第2部「社会的受容性」
第2部では、混在交通の社会的受容性をテーマに講演が行われました。
樋笠准教授は、日本における混在交通の社会的受容性とELSIについて報告しました。また、田中専任講師は「自動運転車の事故時判断をめぐる人々の選好:非致死的な人的被害と物的損害の比較」と題し、自動運転車の意思決定に対する人々の受け止め方を社会心理学の観点からの考察を論じました。
さらに、Urban Innovate CEOでありサンフランシスコ大学非常勤教授でもあるHenriette Cornet博士が、米国社会における自動運転技術への受容状況や市民意識についてを共有しました。
第3部 パネルディスカッション
「Future Inclusive Road 2035」
第3部では、札幌市国際ビジネス連携拠点「STEP」の部長を務める三浦世子氏をモデレーターに迎え、登壇者6名によるパネルディスカッション「Future Inclusive Road 2035」を実施しました。
議論では、安全性だけでなく、人々が安心感や信頼感を持てる交通環境をどのように設計するかが重要なテーマとなりました。また、子どもや高齢者、障がいのある方々を含む誰もが利用しやすい包摂的な道路空間のあり方や、日米双方がそれぞれの経験から学び合える点についても意見交換が行われました。会場からも多くの質問が寄せられ、活発な議論が展開されました。
第4部 共創ワークショップ
「みんなで描く未来の包摂的な道」
第4部では、参加者が「ステークホルダーカード」に未来の道路に関するアイデアを書き込みました。
「安心して歩ける道」「ゆっくり横断してOK」「さまざまな立場ごとの専用レーン」「明確なルール」「市民の声を行政が反映する仕組み」など、多様な提案が寄せられました。グラフィックレコーダーの春仲萌絵氏により、それらのアイデアをその場で一枚のイラストとして可視化し、参加者全員で2035年の包摂的な道路の姿を共有しました。
最後に、Uber Japan株式会社政府渉外・公共政策部長の岩波隆一郎氏が閉会挨拶を行い、シンポジウムは盛会のうちに終了しました。
本シンポジウムは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発、JPMJRS24J2)および、JST RISTEX社会技術研究開発事業(国際活動推進強化支援)による研究成果の一環として開催されたものです。
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