-事業構想論― あわすのスキー場 支配人 松井一洋様 ご登壇
6月5日、「事業構想論」*1の授業に、「あわすのスキー場」支配人 松井一洋様をお迎えし、「復活」の事業構想についてお話しいただきました。
富山県の「あわすのスキー場」は1960年に開発され、スキーブームには多くのスキーヤーで賑わいました。しかし2000年代、スキー人口の減少により経営危機に直面。NPO法人が運営を引き継ぐことで一旦は危機を乗り越えましたが、コロナ渦の影響も受け、2020年に約3000万円の負債を抱え閉鎖が発表されました。
当時、東京で会社員として勤務していた松井氏は、故郷の慣れ親しんだスキー場閉鎖のニュースに一念発起。仲間とともに「支援する会」を立ち上げ、復活への道を模索し始めます。閉鎖準備を進めていた経営陣との対立もありましたが、「誰かが先陣を切ってくれるのを待っていた」という声に背中を押されての決断でした。
この決断は地域メディアにも取り上げられ、復活の第一歩として企画した草刈りイベントには200人を超えるボランティアが参加しました。これを知った債権者から、スキー場の存続を条件に債務減免の提案をうけ負債額が大幅に軽減。クラウドファンディングによる資金調達にも成功し、地元からも期待が寄せられるプロジェクトとなりました。
30年務めた会社を早期退職した松井氏は再建に専念。理事メンバーに中小企業経営者や各分野に精通した人材を迎え、分業制で課題に取り組む新体制を築きました。規定概念にとらわれず、外部の意見も取り入れることで事業に広がりが生まれ、2024年度には過去最高の売り上げ1億円を達成。5年間で見事に復活を遂げました。
「あわすのスキー場」は現在「日本一優しいスキー場」をビジョンに掲げ、SNSでの情報発信や他業種との連携、データ分析に基づく効果的な経営判断を行っています。利用者の声に迅速に対応できることを強みに、スキー場を中心とした地域活性化と「住みたいまちづくり」にも貢献しています。
近い将来、スキー場の経営は若い世代に託し、サラリーマンに戻ることを夢見ているという松井氏。「再建において一番大切なことは、本当の課題を見つけること」だと語ります。
学生には、「回り道でも構わない。目標に向かって努力すること、自分のわがままを大切にすること、そして行動力を持つことを心に留めて、人との関係性を一生懸命に築いていってほしい」とメッセージを送りました。
あわすのスキー場のホームページはこちら
【Winter】トップページ – あわすのスキー場
参考ページ:【公式】富山県の観光/旅行サイト「とやま観光ナビ」
富山市あわすので大自然を満喫!「百間滑」と「龍神の滝」をめぐる感動のトレッキング |
*1本講話は、「事業構想論」(担当教員:松本祐一教授、履修人数:325名)の授業において行われ、事業構想の実践者から事業構想とは何かというヒントを学ぶ講義です。
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