5月15日、「事業構想論」*1の授業にゲスト講師として日常キロク製作所 鈴木さとみ氏を迎え、「住まいの終活」の事業構想についてお話しをいただきました。
鈴木氏のビジネスは、社会的課題のひとつである空き家問題にアプローチする斬新な取り組みです。
事業展開している『お守りBOOK』のサービスは、家族の思い出や住居の歴史を、町の変遷も含めて一冊の本にまとめるもの。住み慣れた家が失われたとしても手に取れる形で懐かしい瞬間を呼び起こし、家族と家の記憶を紡ぐものとしてNHKのニュースでも取り上げられ注目を集めています。
現在、空き家は全国に約900万戸あり、7件に1件が空き家という状況で、約20年後には4件に1件になると予測されています。空き家対策の基本的方向性*2としては、住み慣れた家への愛着や思い出、家族間の事情など気持ちの整理がつかずに放置される空き家も多いことから、所有者の死後も空き家にしないなど家の終活などの意識の醸成が必要とされています。
不動産業界で15年のキャリアを持つ鈴木氏は、建物の保存や再生に関心を持ち、深刻化する空き家問題といった社会的な背景と、祖母の家の取り壊しという自身の体験をヒントに、独自の構想を得て事業を立ち上げました。
鈴木氏は、事業構想のプロセスを果樹の成長に例えながら説明し、具体的な成果を生み出すためには、行動を起こし真の課題を探り続けることが重要だと話されます。
「きっかけ(種)があったときに、気が付ける自分になっておく」ことで、日々の気づきや行動を事業の構想につなげていくことができると強調されました
現在この事業は、個人事業として運営していますが、将来的には全国規模の展開を目指しており、商店街の活性化や震災復興における心のケアの分野も視野に入れた事業の展開を検討されているそうです。
*1 本講話は、「事業構想論」(担当教員:松本祐一教授、履修人数:325名)の授業において行われ、事業構想の実践者から事業構想とは何かというヒントを学ぶ講義です。
*2 社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会とりまとめ ~今後の空き家対策のあり方について~ 国土交通省 2023.12
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