―地域金融論― 地域を支え、全国をつなぐ信用金庫の力 城南信用金庫
2026年6月25日(木)、「地域金融論 *1」(担当教員:長島 剛教授)の授業にて城南信用金庫(本店:東京都品川区)相談役 川本 恭治氏が講演を行い、信用金庫の役割、地域貢献、震災支援など、多岐にわたる取り組みを紹介しました。川本氏は城南信用金庫に41年間勤務し、令和元年から5年間、理事長を務められました。東日本大震災後の継続的な支援活動が評価され、福島県から終身の「福島県しゃくなげ大使」にも任命されています。
信用金庫は地域密着型の金融機関であり、城南信用金庫は東京都・神奈川県に86店舗を展開しています。創設以来「公益事業を第一に」という理念を掲げ、地域の中小企業を中心に支援されてきました。近年はキャッシュレス化や少子高齢化など業界を取り巻く環境が大きく変化しているものの、同金庫は「顧客の困りごとを解決する」という原点に立ち返り、独自の取り組みを進めています。
川本氏は、理事長就任後、顧客の声を丁寧に聞き取る姿勢を更に重要視されました。コロナ禍では飲食店支援のためテイクアウト紹介サイトを開設し、職員総出でポスター配布や販売会を実施。地域の課題に即応する姿勢が地域住民からも高く評価されました。
さらに、事業承継や相続相談、スタートアップ支援など多様な中小企業支援の課題に対応。子ども向けには少年野球大会や将棋大会、電車工場見学、職業体験イベントなどを開催し、地域の教育・文化にも貢献されています。
東日本大震災では4年間にわたりボランティア活動を継続し、東北との強い絆を築かれました。この経験を基盤に全国70以上の自治体・大学・メディアと連携し、毎年東京ビッグサイトで開催する「よい仕事おこしフェア」は500社・3万人が参加する一大イベントへ成長しています。能登半島地震でも迅速な物資支援を行い、全国ネットワークの力を示されました。
こうした取り組みの成果として、コロナ禍にあっても新規取引先は1万社増加し、業績はV字回復を遂げました。さらに2023年には、株式会社船井総合研究所が2010年に創設した、社会性・教育性・収益性・成長性・環境性を兼ね備えた「持続的成長企業」を顕彰するアワード「グレートカンパニーアワード(現在はサステナグロースカンパニーアワード)」において、金融機関として初めて大賞を受賞されています。川本氏は、「地域の声に真摯に耳を傾け、役に立とうと努力し続けることが何より大切である」と語られました。学生たちは、金融の枠を超えて地域課題に挑む事業の実践から多くの示唆を得るとともに、信用金庫が地域社会に及ぼす影響の大きさについて理解を深めました。
授業終了後には、長島教授の研究室において、ながしまゼミの学生7名と川本氏との懇親会を実施しました。学生から寄せられた多様な質問に対し、川本氏には一つひとつ丁寧にご回答いただきました。また、川本氏から留学生へ質問が向けられる場面もあり、終始和やかな雰囲気の中で交流が進みました。地域密着型金融の理念を徹底し、全国の信用金庫・自治体・企業をつなぐネットワークを構築してこられた実践者である川本氏のお話は、参加した学生にとって大変貴重な学びの機会となりました。
*1「地域金融論」(担当教員:長島剛教授)は、銀行・信用金庫等の地域金融機関が果たす政策的・経済的役割を体系的に学ぶとともに、自治体・企業・NPOなどとの協働による地方創生の実践事例を検討する科目です。地域金融を基軸とした持続可能な地域づくりのあり方を探究し、地域社会の将来像を創造的に描く力の育成を目的としています。
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