5月22日「事業構想論」*1の授業にゲスト講師として、ファームマチダ東京株式会社の松井優一氏を迎え、「農業」の事業構想についてお話しをいただきました。
東京都の農地は約6割が市街化区域内に位置し、農産物の生産に加え、環境保全や防災機能、さらには都市部に暮らす人々に癒しを提供するなど、多面的な役割を果たしています。しかし今、宅地開発による農地面積の減少や農家の高齢化に伴う後継者不足は深刻な課題となっています。これに対処するためには、若い世代へ農業の魅力を発信し、都市型農業を活用した新たなモデルを推進することが必要とされています。*2
農学部出身の松井氏は、バイオ系ベンチャー企業や外資系農薬メーカー、そしてスマート農業事業を手掛けるスタートアップなど、幅広い分野で経験を積まれました。その中で「自身が直接農業に取り組まなければその本質は理解できない」との思いが強まり、地元・町田市で2年間の農業研修を経て、ファームマチダ東京株式会社を設立しました。
会社のキャッチフレーズは「農作物だけでなく、仕組みと前例を作る」。タマネギ、サツマイモ、ブルーベリーといった都市型農業に適した作物を、スマート農業の技術も活用しながら生産しています。また自治体やJAとの連携を通じて、農業を継続しやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいます。
松井氏は、『農業生産事業』、『農業コンサル事業』、『農業メディア事業』の3本柱を軸に事業構想を展開しています。これらの事業が互いに補完し合うことで、持続可能な事業モデルの構築が可能になると話します。
東京都の農業が直面する農地面積の減少や後継者不足といった課題に取り組みながら、次世代への円滑な農業の引き継ぎ方法を模索する、松井氏の地域農業の未来に向けた挑戦が続いています。
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*1本講話は、「事業構想論」(担当教員:松本祐一教授、履修人数:325名)の授業において行われ、事業構想の実践者から事業構想とは何かというヒントを学ぶ講義です。
*2『東京の農業を学ぶ』
東京都の農業情報 | 東京都の農林水産総合サイトTOKYO GROWN
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